きむさんのグローバル投資ニュース

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米株式の急落について20181226_2

米国株式が急下落したため追加でレポートします。 

また、下記は現状整理。

雑感-バリュエーション調整に関して今見えていることのいくつか

 

今年の市場関係者はみな大納会まで慌ただしい年になりそうです。

直近のバリュエーション調整について今、自分の目に見えていること、思うことをいくつか取りまとめました。

雑感としてシェアします。今回は「現在(いま)」の市場の立ち位置を把握することを目的としており、今後の予測を行うわけではありませんので悪しからず。

(追伸:12/25はお休みを頂いておりました。朝のMemoを送れなかったこと、この場を借りてお詫び申し上げます)

 

直近のNY株式市場の調整

①   FANGインデックスの弱気相場入り

②   NASDAQ100とS&P500のP/Eが非常に接近している

(12/21日時点でNASDAQ100:20.15倍、S&P500:19.46倍、いずれも実績値を使用)

③   株式の割高感、割安感を示すイールド・スプレッド(株式益利回り-米10 年債利回り)に関してNASDAQ100は依然としてプラスの水準(12/21時点)=米10年債利回りとの対比でみると株価が極端に割安とは言えない

④   2018年のS&P500の株価推移は2002年(ITバブル)と近似

⑤   2000年以降、NASDAQ総合と連動性のみられるモメンタムインデックス(MSCIモメンタムを使用,データはいずれも月末値で比較)の直近10~11月の2か月間のパフォーマンス(前月比)が低下→株価がピークアウト?

⑥    S&P500のパフォーマンス(前年同月比)はマイナス圏入り。

⑦   S&P500前年比と米ISM製造業景況感指数には連動性→株価が景気に先行すると仮定すれば足元のS&P500 の水準は既にISM製造業景況感指数40近辺の水準(景気後退期の水準)まで織り込んでいることになる

 

以上

 

書き始めるときりがないのでこの辺で。

  • ④が株価の先行きを示唆するとした場合、目先の株価はもう一段の下落に備える必要性があることになるでしょう。
  • 一方で、観察ポイント②も個人的に興味深いところ。NASDAQはテクノロジーセクターのウェイトが大きく、一般的には成長(グロース)株に位置付けられます。このテクノロジーセクター(NASDAQ100)のPERとS&P500のPERが接近しているということは、グロース株の成長期待の剥落、とりわけ市場が行き過ぎている場合には、本来よりも割安な水準になっていることを示唆している可能性があるでしょう。
  • ⑤の現象は、2000年以降の月足だと、ITバブル、リーマンショックの前にも見られた兆候です。ではバブル、あるいは景気後退なのか。残念ながら今、バブルと判断するには材料が不足しています。これは景気後退の兆候に関しても同様です。例えば景況感。米国のISM製造業景況感指数は60と極めて良好な水準ですし、失業率も過去最低(1965年以降、景気後退前には失業率が必ずボトムアウトしている)、景気後退の前兆とされる2年-10年の長短金利逆転も発生していません。
  • 現状では、「調整」の域は出ていないといった印象。イメージとしては1987年10月に起こった「ブラックマンデー」を想起させます。
  • 米国株式だけ「対して下げていなかった」という事実がいかに異様だったかということです。
  • また、過去の事実として急落後の物色は変化する可能性があります(しばらく急落前には戻らない)
  • とはいえ、市場の不安心理が高まっている状況では「相場は行き過ぎる」というのが通例
  • 興味深いのは、既に下げたマーケット(例えば新興国株式市場など)は下げが限定的であること
  • 景気後退に端を発するクラッシュの場合にはこの限りではないはず
  • つまり、下げが限定されている市場は資金の引き上げがおおよそ終わっているマーケットであるとも解釈できると考えます
  • 底値は見えないが、バリュエーション修正が完了し、割安感が出ているとすれば丁寧に買い下がっていくスタンスが重要と考えます
  • 若い方とお話しすると「私は違う(買い場を分かっている)」との雄弁を語る声も聞こえますが、残念ながらこの10年間に市場関係者になった人間は本当の「ショック(バブル崩壊)」を知らないのが真実です。つまり、市場は「ショック」の記憶を失っている。真に買い場を探る人間は「声を高らかにチャンスを口にする」ことはないのです。
  • リスクをとりすぎず、アセットクラス変更の重要性をよく認識する局面であるとみています。